
先日、海外在住の生徒さんから質問を頂きました。
今日は、その時の回答をご紹介しますね。
以下が質問です
【
「レッドベター理論では正しくスイングできるとドロー系になると考えていいのでしょうか?」
「プロなどを見ていると、パワーフェードとか持ち球がフェードと聞くが、それが良いのでしょうか?」
「あるいは基本のドローがあって、その上で高いレベルで調整しているフェードなのか?」
あるいは「スイングの考え方がまったく違うのか?」
これらを整理して欲しい
】
と言うことでした。
では、順番に整理していきます。
まず前提として、ドローかフェード、どちらの球筋が良いのか?は
「安定してコントロールできるのであれば、どちらでも良い」となります。
それぞれの違いは、同じヘッドスピードであれば、ドローの方が飛距離が出る可能性が高く、フェードの方がバックスピンを増やしてボールを止めやすい、という事になります。
これは物理的法則なので、プロでもアマでも関係ありません。
つまり、今フェードを打っているプロもドローの方がもっと飛距離が出る可能性はあるのです。
ですから私は、アマチュアの皆さんには、基本はドローをおススメします。
飛距離は落ちてもいいから、もっと安定したい。そういう人はフェードでもいいでしょう。
では、なぜプロはフェードヒッターが多いのか?
その理由は以下の2つです。
1,フェードの方がクラブフェースの開閉が少ないのでコントロールしやすい
→ヘッドスピードが速く、爆発的な飛距離が出るプロは、多少飛距離が落ちても安全で、コントロールしやすい球筋を求めると言うこと
2,安定してドローでコントロールするには、場合によっては自分のオリジナルのスイングとは大きく異なったスイングが求められる
→スイングを変えるより、自分を生かせる球筋で強みを生かす方が良いと考えるという事
アマチュアの人は「そんなことあるの?」と思いますが、ドローは打てない、ドローだと安定させられない、そんなプロも存在するのです。
実は、プロでも高いレベルで調整してフェードにしているという人は世界トップのほんの一握りくらいなのです。
トッププロも含めてドローではコントロールができない、あるいは難しいからフェード、という人が多いのです。
今のトップ選手でもドロー系は少ないですね。マキロイ、シャウフェレ、ローズ等が代表でしょうか。まあ、それだけ難しいと言えます。
ただし、これはプロのツアーで優勝すると言う事を目標に考えた場合のお話です。
アマチュアの場合、そもそも「アウトサイドからダウンスイングを始動する度合い」が、プロとは比べ物にならないくらい、「大きくズレて」います。
そうするとフェードではなく、スライスです。
プロのフェードヒッターは、安定している人ほど、ダウンスイングの始動はクラブがシャロ―(スイングプレーンに平行に)に動いています。
そして、ほぼドローと変わらない位置からインパクトし、フォロースル―をドローよりもインサイドに振り抜いて、あるいはクラブフェースを返さずにフェードを打っているのです。
ここ(ダウンスイングの始動時)でアマチュアの安定しない人の多くは、クラブがスティープ(スイングプレーンよりも立った状態)になっています。
あるいは(これはプロに似ていますが)一見シャロ―に良い位置を動いているように見えて、実際はその後アウトサイドに行ってしまうパターンか、です。
アマチュアの安定しないスイングの場合、クラブが立って下りていることが多いので、そして「プロはほとんどがシャローに下りている」ので、ダウンスイングは「シャローにしろ」と流行るのです。
それが安定してボールをコントロールできるスイングの鍵だからです。
で、レッスンにいらした人の多くの問題もやはり、ダウンスイングの始動が
“スティープになってしまっている”
事なのです。
その問題を減らし、シンプルな方向に向かわせるとクラブがインサイドからシャロ―に下りるようになり、結果として少しインサイドアウト軌道になるので、ドローになるのです。
ですが、人によっては、フェードでも良い人もいます。
私はレッスンの時にあえてドローを打たせるようなことは、全く意識はしていません。
問題を減らし、スイングを合理的かつシンプルに向かわせるようにしていると、結果として「ドロー」になってしまうのです。
レッドベターは、
「スイングが良くなるとボールに無駄な回転がかからなくなるので、大きく曲がるミスショットが出なくなり、ナイスミスが増える」
と言っています。
真理としては、
安定したドローが打てるのであれば、安定したフェードもコントロールしやすい
ドローでコントロールが難しい場合、フェードは安全でコントロールしやすい
という物があるのです。
ですので、私たちはあなたのスイングをシンプルで安定した方向へ向かわせようとしていますので、レッスンにいらしている方のほとんどは、安定してドローが打てていることが、スイングが上手くできているという風に判断していただいて大丈夫です。
かつては世界のトップで活躍することを考えると「安定したハイドロ―」が必要になると言われてきました。
オーガスタナショナルで開催されるマスターズというトーナメントを勝つには、ドローのコントロール、そして高いボールで非常に狭いピンエリアに落として止める技術が欠かせないからと言うような理由からです。
しかし近年、(世界ランキング1位のDJなどもそうですが)圧倒的な飛距離を出して正確に打てれば、ドローを多用せずともマスターズで勝てるようになっています。
プロでもピン位置によってドローとフェードを使い分ける人もいれば、常に自分の球筋で攻める人もいます。
いずれにせよ、自信を持って目標を狙うことがきれば、どちらに曲がるショットでも大丈夫だと言う事です。
もしあなたが、「今よりも飛距離が落ちても良いから方向性を上げたい」
ならば、フェードを持ち球にすることに価値があるかもしれません。
しかし本当はスイングを上手く調整できればドローでもコントロール能力を上げることは可能なのです。
ただ、スイングを正しく調整するには、正しい診断と処方が求められます。
それは、トッププロにおいてもアマチュアでも、とても繊細で難しいものなのです。
特に300ヤード以上飛ぶプロは、少しのズレで大きくボールが曲がってしまいます。
ですから、ほんの少しのミスも許されないツアーの優勝争いを考えると、
「上手く行かないスイング調整をして無理にドローを打つ」
よりも、
「スイングのズレをもカバーしてくれる安全なフェードを持ち球に」という風になっていくのです。
さて結論としては、
現状であなたのスイングの問題がアウトサイドイン軌道ならば、つまり、
スライス、ひっかけ、シャンク、ダフリ、トップ、とても安定しない
というミスが問題ならば、向上するにはドローボール習得の方向へ向かうこと
現状で、そこまでの過程は無視してインパクトゾーンだけを見た時に、スイング軌道が、インサイドアウトの場合、つまり
プッシュアウト、フック、ヒールに当たる、長いクラブのトップ、たまにシャンク
この様なミスならば、フェードを目指す価値がある可能性があります。
大切なことは、ドローかフェードか?
ではありません。
今の問題を減らし、もっと安定して良いショットを打てるようになるために、スイングがどうなるべきか?
その結果として球筋がどうなるのか?
なのです。
今日はこの辺りで終わりです^^
*Nさん、あなたのご質問が皆さんの役に立ちましたよ^^ありがとうございます。
最後までご覧いただき、有難うございました。
追伸:
「ドローをフェードに変えたら安定した」というのは、よく聞きますね?
こんどそれを耳にしたら「スイングの調整が難しくて安定したドローは打てないんだな」と思って、自分とは違うと思って気にしないようにしましょう(笑)
本当のナイスショットと安定したスコアアップのために
A.Ishida