
今週は、グリーンサイドのバンカーショットの距離調節についてです。
距離を調節するには、基準が必要です。
何かが一定していないと、調節がとても不安定になるからです。
では、何を基準に(一定に)し、何を調節すれば良いのでしょう?
バンカーの場合、方法は二通り考えられます。
1)砂を削り取る量を変えて、スイングを一定にする
2)砂を削り取る量を一定にして、スイングを変える
1)の場合、砂を薄く取る、厚く取る、という違いを出すのですが、薄く取り過ぎればホームラン、厚く取り過ぎれば脱出できない、スピンがまったくかからない等の危険があります。
この考え方は、そもそもバンカーショットで砂を取る量を
“意図して調整するものだ”
と言うふうな誤解から生じています。
実は、グリーンサイドのバンカーでは、特殊な場合を除いては、意図して砂を取る量を調整する必要はないのです。
サンドウェッジのバウンスと呼ばれる部分を正しく利用すれば、意識しなくても砂は
”勝手に薄く取れてしまう”
のです。
上手くバウンスが使えれば、砂が薄くなるだけではなく取れる量も一定します。
一定の量の砂が取れるということは、もし同じように振ったら、同じ距離飛ぶと言うことになりますからシンプルですね?
という事で、バンカーショットの距離の調節の方法は、2)が正解です。
スイングを変える
とは
スイングスピード(ヘッドスピード)を変える
ということです。
ちなみにゴルフの全てのショットにおいて、距離の調節は基本的にはスイングスピードを変えて行います。
冷静になって考えれば単純な物理の法則ですから当然のことです。
ヘッドスピードを早めれば遠くへ、遅くすれば飛ばない
パターでも、アプローチでも、ショットでもバンカーでも全く同じです。
通常のバンカーショットでは、バックスイングの大きさは、ほぼそろえて同じくらいにしてフォロースルーの大きさを変えることでスピードを変えていきます。
鍵はバウンスを上手く使うということになりますが、距離を調節するということに関しては、目標に対してのスイング軌道はアウトサイドインでもインサイドアウトでもあまり問題ではありません。
大切なことは、構えた時のシャフトの角度を変えずにインパクトすることです。スイング(シャフト)プレーンに沿ってクラブを運動させること。それがバウンスを上手く使うための鍵です。
目標に対してスイング軌道がアウトサイドインならばボールは左に飛び、インサイドインならば真っすぐに飛び、インサイドアウトならば右に飛びます。
もしインパクト前後でクラブがシャフトプレーンに沿って動いていれば、これら軌道は自分の構えの向きを調整すればいいだけなのであまり関係無いのです。(失敗しないという意味で、目標に飛ばすには正しいセットアップは、当然必要です)
まあ普通は、シャフトプレーンに沿って動いていて、軌道だけがズレているということは、あまり無いものですが。
ですので、バウンスを上手く使うためにはバンカーショットであっても普通のドライバーやアイアンショットと同様にスイングプレーンに沿ったインサイドインか、若干のインサイドアウト軌道でスイングすることです。
それができれば、砂の3cm手前を打つ、5cm手前を打つ、あるいはギリギリを打つなどと言った神技のようなことをやろうとしなくてもよくなるのです。
クラブが勝手に砂を適切に取ってくれて、しっかりとボールにスピンをかけてくれますし、早く振れば遠くに飛ばせるし、ゆっくり振れば近くに落とせます。
ですのでスイングが安定すると、フェアウェーから打つアプローチのように距離調節もしやすくなるのです。
だからプロは(状況によりますが)「ラフに入れるならばバンカーの方がマシ」というふうになるのです。
バンカーで距離を調節するには、スイングプレーンに沿ってスイングすることです。
ちなみに今日のお話は、砂が普通にあるときの状況であり、目玉や硬い砂の場合は対処が異なりますので、混同しないように。
では、今週も最後までお付き合いありがとうございました。
本当のナイスショットと安定したスコアアップのために
A.Ishida